この記事では、化学「電池と電気分解」の解説をしていきます。
この項のポイントは以下の3つです。
- 金属のイオン化傾向
- 様々な電池
- 電気分解
「電池と電気分解」は、化学の6つめの章で、苦手意識を持っている方も多いでしょう。ここからまた一段階化学が難しくなります。
しかし、整理して覚えれば、決して手が出ない分野ではないでしょう。
しっかり勉強していきましょう。
この単元をマスターすれば、頻出である「電池・電気分解」が正解できて成績アップ間違いなしです!
なお、前の章はこちらから飛べます。
金属のイオン化傾向
この項目を勉強する意味は「電池・電気分解を理解するために必須。絶対に覚えておこう!」です。
勉強していきましょう!
Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > (H2) > Cu > Hg > Ag > Pt >Au
- 左に行くほど、電子を相手に与えるので還元作用が強い(酸化しやすい)
→イオンになりたい! - 逆に、右に行くほど電子を受け取りやすく、還元されやすい(酸化されにくい)
→イオンになりたくない!
例)亜鉛板を硫酸銅(II)水溶液に浸すと、ZnはZn2+となって溶け出し、Cu2+はCuとなってZnに析出する
イオン化傾向を見ると、Zn > Cuですよね。
電子を出してイオンになりたいZnと、電子を受け取りたいCu2+がいるので、Znが溶けてCuが析出します!
様々な電池
この項目を勉強する意味は「電池は頻出問題だが覚えてない人が多い。しかし、整理して覚えれば怖くない!合否を決める分野。」です。
勉強していきましょう!
- ボルタ電池
- ダニエル電池
- 鉛蓄電池
電池は、この3つだけは覚えましょう。

燃料電池の問題はあまりでないです。
もう1点を狙う人は覚えてもいいね。
ボルタ電池
まずは、最も初歩的なボルタ電池を見ていきます。
- 負極:Zn →Zn2+ + 2e–
- 正極:2H+ + 2e– →H2
銅板は電流が流れるだけで、反応に関与しない!
希硫酸を使う理由は、濃硫酸はイオンになってなくて電気が流れないから!
電池の分野で注意したいのは以下の3点。
- イオン化傾向が大きい方が負極・小さい方が正極となる
- 電子は負極から正極に流れる
- 電流は正極から負極に流れる
ボルタ電池でいうと、Znはイオンになりたい、H+ は水素になりたいので、ちょうど利益が一致したイメージ。
また、電子はマイナスの電荷を持っているため、電子の流れる方向と電流が流れる方向とは逆になります。

ボルタ電池は起電力がすぐに低下するという欠点があります。
次のダニエル電池で、その欠点を克服しています。
ダニエル電池
次は、ボルタ電池の起電力が下がるという欠点を克服したダニエル電池を紹介。
- 負極:Zn →Zn2+ + 2e–
- 正極:Cu2+ + 2e– →Cu
ちょっと複雑になりましたね。でも、整理して覚えれば難しくないので大丈夫。
ボルタ電池と違うところは以下の点。
- 水溶液が「希硫酸」から「薄いZnSO4と濃いCuSO4」になっている
- 溶液は混ざらないけどイオンだけは通す「セロハン」が追加されている
- 正極に「水素」ではなく「銅」が析出する
こう見ると、それほど難しくはないですね。
ダニエル電池はボルタ電池の進化系だと覚えておきましょう!
鉛蓄電池
鉛蓄電池は電池の分野でも頻出な上、できない人が多い。
完璧にできる人と全くできない人、両極化しがちなので、ライバルをぶち抜くチャンスです!
- 負極:Pb + SO42- → PbSO4 + 2e–
- 正極:PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e–→ PbSO4 + 2H2O
ボルタ電池、ダニエル電池はイオン化傾向で正極・負極が決まっていましたが、鉛蓄電池はどっちが正極・負極になるかわからないですよね。
そこで覚えておいて欲しいのが、PbはPb2+になりたがるということ。
なので、Pbはイオン化してPb2+になりたがるから負極、PbO2 はPb4+からPb2+になりたがるから正極になるんです。
また、鉛蓄電池の大きな特徴は「充電できる」こと。
充電器などの負極と鉛蓄電池の負極、正極と正極をつないで外部から電流を流すことで、PbSO4が溶解し、再び元のPbとPbO2 に戻ります。
よくある質問
鉛蓄電池は充電できるのに、ボルタ電池、ダニエル電池が充電できないのはなぜ?
その答えは「充電の生成物であるH2は気体なので、電極から離れてしまうから」です。
イオン化傾向を見ると、亜鉛より水素の方が分子になりたがるので、充電すると水素が発生し、どっかに飛んでっちゃいます。
放電で溶けた亜鉛が再び析出することがないので、充電できないんです。
電気分解
この項目を勉強する意味は「電池と同様、頻出問題だが覚えてない人が多い。合否を決める分野!」です。
勉強していきましょう。
ただ、実は電気分解って本質的には電池と同じです。
ある分子を犠牲にして電気を獲得するのが電池で、その逆の電気を使って欲しい分子を獲得するってのが電気分解。
なので、電池ができれば電気分解もできます。
ただ、「電気量と電子の物質量」は電気分解特有の分野なので、覚えておきましょう。
電気量と電子の物質量
F:ファラデー定数(9.65×104C/mol)
ファラデー定数の意味は「電子1molが持つ電気量」。
この公式は「電流が大きいほど、電気を流す時間が長いほど、電気はたくさん流れるよ」という当たり前のことを示しているだけ。
しっかり覚えておきましょう!
まとめ
「電池と電気分解」について理解できましたか?
この記事の内容をまとめます。
- 金属のイオン化傾向:この分野の基本
- 様々な電池:この分野のキモ。これができれば怖くない。
- 電気分解:電池と同じ考え方で解答可能
電池と電気分解はできない人が多い分、問題が解けるようなれば、確実にライバルに差がつけられます。
さて、しっかり理解したら次の単元に進みましょう!
よくわからなかった人は、繰り返し勉強して、堅実に進みましょう!
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