この記事では、化学基礎「化学結合」の解説をしていきます。
この項のポイントは以下の3つです。
- イオンとイオン結合
- 分子と共有結合
- 金属と金属結合
「化学結合」は、化学基礎の3つめの章で、中学レベルと高校レベルの境目くらい。遅れないように勉強していきましょう!
この単元をマスターすれば、高校化学でいいスタートダッシュが切れます!
なお、前の単元は以下のリンクから飛べます。
イオンとイオン結合
この項目を勉強すれば、よくわからない言葉である「イオン」が理解でき、化学の勉強でつまづかなくなります。
さて、勉強していきましょう!
イオンとは何か
中学生でもイオンを学びますが、復習しましょう。
イオンのイメージは「電気を帯びた原子」です。
イオンが電気を帯びる理由は、以下の絵を見てください。
ナトリウム原子は電子(ーの電荷を持つ粒子)を放出してNa+に、塩素原子は電子を受け取ってCl–になります。
このように、電子を放出または受け取った原子が「イオン」だというわけです。
また、イオンから電子を一個取り去って陽イオン(+のイオン)にするのに必要なエネルギーを「イオン化エネルギー」、逆に電子を一個受け取って陰イオン(-のイオン)に放出されるエネルギーを「電気親和力」と言います。
イオン結合とは
イオン結合は陽イオンと陰イオンとの結合のこと。
このとき、引き合ってくっつく力を「静電気力(クーロン力)」と呼びます。
例)Na+ + Cl– = NaCl
金属イオン+非金属イオンの物質ならば、イオン結合です。
上の例だと、Na+ (金属イオン)+ Cl– (非金属イオン)= NaCl(食塩(イオン結合))

クーロンさんが発見したから、クーロン力。
イオン結合・イオン結晶の覚えておきたい特徴は以下の通り。
- イオン結晶は水に溶ける
- 固体は電気を通さないが、水に溶かしたりして液体にすると電気を通す
- 硬いがもろい
- NH4Clのみ例外として、非金属どうしだけどイオン結合
食塩(塩化ナトリウム:NaCl)をイメージしてみましょう。
料理をする人はイメージできると思いますが、食塩は水に溶けますね。
また、食塩は電気を通しませんが、食塩水にするとイオンが自由に動けるようになって、電気を通ります。
そして、食塩は硬いですが、ハンマーでガンと叩くと砕け散るもろさを持っています。

硬いがもろいを理解するのにいい例は「ガラスとゴム」。
ガラスの方が硬いけど、ゴムの方が割れにくいよね。
ガラスは硬いがもろい。ゴムは柔らかいが粘り強い。
分子と共有結合
この項目を勉強すれば、分かっているつもりになりがちな分子について理解でき、頭の中が整理できます。
さて、勉強してみましょう!
分子とは何か
原子が価電荷を互いに共有することによってできたものを「分子」と呼びます。
文字ではよくわからないので、以下の図を見てください。
H原子とCl原子が電子を出し合って共有し、HCl分子となります。
共有結合とは
共有結合は非金属元素どうしの結合。
例)H+ + Cl– = HCl
共有結合・共有結合結晶の覚えておきたい特徴は以下の通り。
- 電気を通さない(黒鉛(C)を除く)
- 融点が高い
- 非常に硬い
- 水に溶けにくい
ガラス(二酸化ケイ素(SiO2))をイメージしてみましょう。
ガラスは電気を通さないですね。蛍光灯に触って感電したことはないはず。
さらに、融点が1710℃と非常に高い(比較:NaClは801℃・Alは660℃)。
上で少しお話ししたように、ガラスは引っ掻いても傷つきにくい(非常に硬い)です。
また、ガラスは水に全然溶けないですね。
発展で、炭素が例外的に電気を通す理由は、「炭素原子と炭素原子は結合しても電子が余る。その電子が炭素内を自由に動けるため、電気を通す」です。
もうちょっと詳しく言うと、「炭素原子には共有電子対は3つしかないけど、炭素原子には不対電子が4つある。余った電子1個が自由に動けるため、電気を通す」です。
金属と金属結合
この項目を勉強すれば、ごちゃごちゃになりやすいイオン・分子・金属がしっかり区別して覚えられます!
金属結合は、その名の通り金属と金属との結合。
例)Cu
金属結合の覚えておきたい性質は以下の通りです。
- 熱・電気伝導性がある
- 展性・延性を持つ
- 金属光沢がある
Cu(銅)をイメージしてみましょう。
銅線は電気伝導性があるため、電線に使われています。また、熱をよく伝えるので銅で作られた鍋もありますね。
展性(薄く広げられる)・延性(引き延ばされる)があり加工が容易なので、効果や装飾品など様々なところで使われています。
そして、新品の10円玉は光沢がありますね。

鍛冶屋さんが刀をガンガン叩くのもイメージしやすい。
真っ赤に熱された鋼が叩かれて広げられ、完成した刀には光沢があるね。
まとめ
化学結合のことについて理解できましたか?
この記事の内容をまとめます。
- イオンとイオン結合:イオンとは電気を帯びた原子
- 分子と共有結合:原子が価電荷を互いに共有したものが分子
- 金属と金属結合:金属原子と金属原子との結合
イオン(イオン結合)・分子(共有結合)・金属(金属結合)はごちゃごちゃになりやすいので、しっかり区別して覚えてください。
まだまだ差が出にくい分野なので、堅実に進みましょう!
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