この記事では、物理「円運動」の解説をしていきます。
この項のポイントは以下の2つです。
- 円運動の基本:角速度と向心力
- 単振動:円を横から見た運動
この辺りになってくると、物理が苦手な人からすると訳がわからず拒否反応が出るでしょう。
円運動、出題頻度も多く差が出る単元です。しっかり勉強していきましょう!
それでは、解説していきます。
円運動の基本
円運動の第一歩。単振動や振り子でも円運動の考え方を使うので、ここを理解しないと先へは進めません!
角速度
円運動を考えるとき、「角速度」という「どれだけ回転したか」を示す値を使います。
大きい円と小さい円では、同じ速さで同じ距離まわっても回転数は変わるので不都合なんです。
下の記号を使って円運動を表してみましょう。
- t[s]秒間にθ[rad]だけ回転した時の角速度ω[rad/s]
- 速さv[m/s]で動く物体が、半径r[m]の円周上をt[s]秒間にθ[rad]だけ回転した時の距離l[m]
- 物体が円周上を1周するのに要する時間(周期)をT[s]とし、物体が1秒間に回転する回数をn

公式は丸暗記でも構いませんが、難しくないので数回は導出してみてください。
公式丸暗記は楽するためではなく、あくまで時短のため!
向心力
オリンピック競技のハンマー投げを思い出してください。
鎖の先端に重い鉄球がついたハンマーを投げる競技ですね。
投げる時にぐるぐるとまわって(円運動をして)勢いをつけます。
その時、先端の鉄球にかかっている力は「鎖の張力(中心方向の力)」だけです(重力は考えないものとしてください)。
手を離す(回転をやめる)と、ハンマーは円運動をやめて飛んでいきます。
つまり、物体が円運動をするには、中心方向の力(向心力)が必要ということです!
また、向心力(円の中心方向)と速度(円の接線方向)は常に垂直であることにも注意してくださいね。
注意:向心力は、円の中心方向を向いている力の総称です。
ハンマー投げだと「張力=向心力」であって、「張力+向心力がかかる」ではありません。
惑星の運動だと「重力=向心力」ですね。
円運動の加速度
さあ、向心力の加速度を調べてみましょう。

色々難しく導出しましたが…最後だけ覚えておけば十分。
加速度の向きは、向心力と同じく中心方向です。
単振動
単振動は物理の力学で最もよくわからない範囲だと言っても過言ではないでしょう。
最初っから捨てている人も少なくない。
理解は難しいですが、勉強していきましょう。
単振動は「単純に直線上を往復を繰り返す運動」のこと。
ばねを引っ張って離すと単振動します(摩擦や空気抵抗は無視してください)。
円運動と関係なさそうですが…実は単振動は円運動に落とし込むことができるんです。

角振動数だけ非常にわかりにくい概念ですが「円運動でいう角速度のこと。2π秒間で振動する回数」と覚えておいてください。
単振動の変位・速度・加速度
続いて、物体の運動を調べる上で欠かせない成分である、変位・速度・加速度を調べていきます。

公式を覚えてもいいですが、結構複雑で忘れやすいので導出もできるようにするといいですね。
加速度aが分かったので、運動方程式(F = ma)も立ててみましょう。
F = ma = m(-Aω2sinωt)= -mω2x
mとωは一定の値をとるため定数Kとすると、F = ma = -Kx
単振動している物体には-Kxの力が働くことが分かりました。
逆にいうと、-Kxの力が働く物体は単振動をしているということですね。
注意:フックの法則「F = kx」は弾性力の大きさを表す値なので、マイナスがつきません。
単振動の運動方程式:xは原点からの位置の変化なので正負がある
フックの法則:xはばねの自然長からの伸び縮みなので正のみ
続いて、単振動の周期Tを求めます。
T=2π/ωなので、k = mω2より、T=2π√(m/K)と簡単に導出できますね。
まとめ
円運動ついて理解できましたか?
ポイントをまとめますね。
- 円運動の基本:角速度と向心力
- 単振動:円を横から見た運動
円運動は高校物理の力学でおそらく最も難易度が高い分野。その分、差が出やすいです。
問題演習を嫌という程繰り返して、自分の頭に擦り込んでください。
さて、理解したら次の単元に進みましょう!
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