この記事では、物理「分子運動論とエネルギー」の解説をしていきます。
この項のポイントは以下の2つです。
- 分子運動論の考え方と計算
- 気体分子の運動エネルギー:温度は運動エネルギーそのもの
- 理想気体の内部エネルギー:物質量と温度だけで決まる
ここから、熱の分野は式変形が多く、非常に厄介になります。苦手意識を持っている人も多いはず。
ただ、考え方は難しくありません。噛み砕いて理解すれば、それほど難しい内容じゃないと理解できます。
それでは、解説していきます。
分子運動論の考え方と計算
気体の性質を分子の観点から見ていきます。
圧力を求める際に長めの計算が出てきますが、恐れることはありません。やっていることは単純です。
分子の観点から気体の圧力を見て行くのですが、下のように単純にした系で考えます。
- 理想気体(分子に大きさがなく、分子間力もない)
- 気体は1辺がLの立方体の箱に封入されている
- 分子に大きさがないので、衝突はしない
- 分子は全て質量mで、重力は働かないが、運動量や運動エネルギーはある
- 分子は壁と弾性衝突をする
- 分子は壁にぶつかるまで等速直線運動をする
- 気体分子の数はN個である
この前提条件で、気体の圧力を解説していきますね。


圧力という巨視的(マクロ)な量を、分子という微視的(ミクロ)な量を用いて表すことに成功しました。
なんども式変形が出てきて複雑そうですが、小分けにして考えると難しくないはず。
気体分子の運動エネルギー
先ほど求めたミクロな圧力を使って気体分子の運動エネルギーを見ていきます。
ここでも少し式変形をしますが、恐れることはありません。単純です。

気体分子1個の平均の運動エネルギーが算出できました。
温度が決まれば、気体の種類には関係なく分子の平均運動エネルギーが決まることを表しています。
つまり、温度は運動エネルギーそのものなんです。
理想気体の内部エネルギー
続いて、気体が持つエネルギーである「内部エネルギー」を見ていきましょう。
式変形自体は簡単ですが、ここにたどり着くまでに脱落している人も多いはず。
しっかり理解して、ライバルに差をつけましょう。
内部エネルギーとは、無数にある分子をひとまとめにしてみたときの運動エネルギーのこと。
内部エネルギーは名前の通り「内部にあるエネルギー」なので、物体の速さや高さは考慮しません。
また、理想気体を考えるときは分子間力はないものとします。
ボールを投げるなど、マクロに見た「運動エネルギー+位置エネルギー」で表す力学的エネルギーは関係ないので注意してください。
さて早速、理想気体の内部エネルギーUを求めていきましょう。

理想気体の内部エネルギーも、気体の種類に関係ないことが分かりました。
物質量と温度のみで決まりますね。
まとめ
分子運動論と内部エネルギーについて理解できましたか?
ポイントをまとめますね。
- 分子運動論の考え方と計算
- 気体分子の運動エネルギー:温度は運動エネルギーそのもの
- 理想気体の内部エネルギー:物質量と温度だけで決まる
ここで熱力学を脱落する人が多いです。
ただ、冷静に考えれば、それほど難しくないことがわかってもらえるはず。
理解できたら、次に進みましょう!
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