この記事では、物理「気体の状態変化」の解説をしていきます。
この項のポイントは以下の2つです。
- 4種類の状態変化:定圧・定積・等温・断熱
- モル比熱:定積モル比熱と定圧モル比熱は気体の種類によらず一定
4種類の紛らわしい状態変化が出てきます。ごちゃごちゃになって整理できていない人も多いはず。
しかし、熱の分野では頻出なので、絶対に押さえておきたい内容です。
それでは、解説していきます。
4種類の状態変化
気体の状態変化について見ていきます。
紛らわしい内容ですが、今までやったことが分かっていれば難しく無いはず。しっかり整理して覚えましょう!
状態変化といえば「固体⇄液体⇄気体」というイメージがありますが、気体の状態へんかは気体の「体積・圧力・温度」の変化のこと。
気体の状態変化は以下の4つを考えましょう。
- 定積変化:体積が一定
- 定圧変化:圧力が一定
- 等温変化:温度が一定
- 断熱変化:熱の出入りなし
熱力学第一法則より、ΔU = Q + W
- Q:外部から加えた熱量, J
- W:外部からの仕事, J
- ΔU:内部エネルギーの増加分, J
ボイルシャルルの法則よりpV / T = 一定
- p:気体の圧力, Pa
- V:気体の体積, m3
- T:絶対温度, K
熱力学第一法則とボイルシャルルの法則の変数に注目していきます。
ピストン付きのシリンダーを考えると、どんな状況か分かりやすいです。
- 定積変化:ピストンを固定しながらシリンダーを加熱・冷却
- 定圧変化:ピストンを自由にしてシリンダーを加熱・冷却
- 等温変化:ピストンをゆっくり動かして、シリンダーの温度変化を防ぐ
- 断熱変化:断熱素材のピストン・シリンダーを使う

モル比熱
続いて、モル比熱について見てきます。
先ほどは4種類の気体の状態変化を見てきましたが、定積変化と定圧変化ではさらにもう一つ覚えておくことがあります。
忘れないように覚えておきましょう。
物質の温まりにくさを表す「比熱」の概念を気体にも適応させます。
ただ、今までの固体や液体では1gあたりで考えていましたが、気体では1molあたりで考えます。
つまり、1molの分子の温度を1Kあげるのに必要な熱量である「モル比熱」を考えます。
モル比熱は比熱の式Q = mcΔTとよく似ており、下の式で表すことができます。
Q = nCΔT
- C:モル比熱, J/(mol•K)
- n:物質量, mol
- ΔT:温度変化, K
- Q:必要な熱量, J
ただ、気体の場合だと、熱を加えると温度以外にも体積や圧力が変化するので厄介。
そこで、定積変化と定圧変化の場合のモル比熱を見ていきます。

意外にも、定積モル比熱も、定圧モル比熱も気体の種類によらず一定だということが分かりました。
まとめ
気体の状態変化について理解できましたか?
ポイントをまとめますね。
- 4種類の状態変化:定圧・定積・等温・断熱
- モル比熱:定積モル比熱と定圧モル比熱は気体の種類によらず一定
熱力学を最後まで勉強しました。
熱力学は式変形が多く、苦手意識を持っている方も多いはず。
しかし、考え方は意外と単純だと気が付いていただけたと思います。
理解できたら、次に進みましょう!
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